SECRET CLINIC
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美容医療において、患者さまの期待を調整するうえで難しいことの一つが、「良い施術なら、クリニックを出る時点ですでに大きな変化が見えるはず」という考え方です。
施術が終わったあと、患者さまからよく聞かれる質問があります。
「もうリフトアップした感じが見えているはずですか?」
多くの場合、患者さまは鏡を見ながらそう尋ねます。
その気持ちはよく分かります。
費用をかけて施術を受け、多少の痛みや不快感を経験し、回復のための時間も過ごすのであれば、何らかの変化を実感したいと思うのは自然なことです。
そして、施術当日に変化が見えると安心感にもつながります。
ただ、美容医療が少し分かりにくいのはここからです。
施術当日に見えている変化が、その施術が本来目指している最終的な変化とは限りません。
施術当日から、見た目の変化を確認できる治療もあります。
一方で、時間をかけて変化していく治療もあります。
たとえば、エネルギーを利用したリフティング施術やコラーゲンの生成を促すことを目的とした治療では、期待する変化の一部は徐々に現れてきます。
患者さまがクリニックを出たあとも、組織の反応は続いていきます。
それには時間が必要です。
さらに分かりにくいのは、その逆のことも起こるという点です。
施術が終わったばかりの段階で、顔の印象が大きく変わって見えることがあります。
ふっくらして見えたり、肌が引き締まったように見えたり、一時的に輪郭が変化して見えたりすることもあります。
しかし、その初期の変化の一部は、腫れや施術直後の組織反応による可能性があります。
そのため、必ずしも最終的な仕上がりを示しているわけではありません。
だからこそ私は、施術が終わってすぐに患者さまへ鏡をお見せして、
「ほら、こんなに変わりました」
とお伝えすることには慎重になりました。
実際に変化が見えていることもあります。
ただ私は、それ以上に、今見えている変化のうち、どの部分が今後も残る可能性が高く、どの部分が一時的なものなのかをきちんと説明することの方が大切だと考えています。
SNSによって、この期待はさらに大きくなったように感じます。
施術動画では、カメラが顔の片側から反対側へ移動しただけで、大きな変化が現れたように見えることがあります。
Before.
After.
わずか30秒。
映像としては、とても説得力があります。
しかし、人の身体の変化が30秒ですべて完了することはほとんどありません。
動画が終わったからといって、コラーゲンのリモデリングまで完了するわけではないのです。
私が行っている施術の中にも、数週間、あるいは数か月が経ってから評価した方がよいものがあります。
これは患者さまにとって、少しもどかしく感じられることがあるかもしれません。
特に、短時間で大きな変化が現れることに慣れてしまっている場合は、なおさらです。
ただ、私は個人的に、施術室にいる時点でどれだけ劇的に見えるかだけで、その治療の質を判断するべきではないと考えています。
それよりも、別のことを確認したいと思います。
一時的な変化が落ち着いたあと、患者さまはどのように見えるのか。
数か月後、肌はどのような状態になっているのか。
そして何よりも、
その仕上がりが、その人らしさを保っているか。
施術の早い段階で変化を感じられることは、もちろん嬉しいものです。
ただ、美容医療では、待つ時間そのものが治療の一部になることもあります。
最初に目にする変化が、必ずしも一番大切な結果とは限りません。